セルフメディケーション税制、2027年から対象拡大へ

ドラッグストアなどで購入した対象医薬品の費用について、一定の条件を満たすと所得控除を受けられる「セルフメディケーション税制」。厚生労働省は2026年9月1日、対象医薬品の一覧を更新しました。また、2027年からは制度の適用期限や対象範囲も見直される予定です。身近な市販薬に関係する制度ですが、すべての医薬品が対象になるわけではありません。現在の仕組みと今後の変更点、利用するときの注意点を整理します。

セルフメディケーション税制とは

セルフメディケーション税制は、健康の保持増進や病気の予防に取り組んでいる人が、自分や生計を同じくする家族のために対象医薬品を購入した場合に利用できる医療費控除の特例です。1年間に支払った対象医薬品の購入費が1万2,000円を超えると、その超えた部分を所得から控除でき、控除額の上限は8万8,000円です。保険金などで補填された金額がある場合は、その分を差し引いて計算します。

  • 一定の健康づくりへの取り組みが必要

    特定健康診査、予防接種、勤務先での定期健康診断、がん検診など、その年に健康の保持増進や疾病予防のための一定の取り組みを行っていることが条件です。

  • 通常の医療費控除との選択制

    セルフメディケーション税制と通常の医療費控除を同じ年に併用することはできません。支払った医療費や対象医薬品の購入額を比べ、自分に有利な方を選びます。

2027年から対象範囲を見直し

厚生労働省の資料によると、2027年以降は制度の継続方法と対象範囲が見直されます。医療用から市販用へ転用されたスイッチOTC医薬品については制度を恒久化し、それ以外の対象医薬品については適用期限を5年間延長する方針です。身近な市販薬や検査薬にも対象が広がる一方、用途によっては対象から外れるものもあります。

  • 対象に加わる主なもの

    一定の消化器官用薬、生薬のみを有効成分とする鎮咳去痰薬、新型コロナやインフルエンザなどのOTC検査薬、排卵日予測検査薬、対象医薬品と同じ成分を含む薬局製造販売医薬品などが追加されます。

  • 対象外となるものもある

    痩身や美容を目的として使用される可能性がある医薬品などは対象から除外されます。商品名や用途だけで判断せず、購入時点の対象品目一覧を確認することが大切です。

対象商品はレシートと公式一覧で確認

制度の対象となる商品には、パッケージや薬局の棚、レシートなどに識別マークが表示されることがあります。ただし、表示方法は店舗や商品によって異なります。厚生労働省は対象となるスイッチOTC医薬品、非スイッチOTC医薬品などの一覧を公開し、必要に応じて更新しています。確定申告を考えている場合は、購入時のレシートを保管し、商品が対象品目に含まれるかを公式一覧で確認しましょう。

申告に備えて記録を残す

申告する際は、セルフメディケーション税制の明細書を作成し、確定申告書とともに提出します。健康診断や予防接種など一定の取り組みを行ったことを示す書類は、原則として申告時の添付や提示は不要ですが、税務署から確認を求められる場合があります。厚生労働省は、確定申告期限などから5年間、自宅などで保管するよう案内しています。

市販薬を安全に使うために

税制の対象であることは、その薬がすべての人に適していることを意味するものではありません。持病がある人、ほかの薬を服用している人、妊娠中や授乳中の人、高齢者や子どもが使用する場合は、薬剤師や登録販売者へ相談しましょう。用法・用量を守っても症状が改善しない場合や、症状が強い場合には、市販薬だけで対応を続けず医療機関を受診することが大切です。

まとめ:制度と対象商品を正しく確認して活用を

セルフメディケーション税制は、対象医薬品の年間購入額が1万2,000円を超えた場合に利用できる所得控除の特例です。2027年からは対象範囲が広がり、OTC検査薬なども加わる一方、対象外となる商品もあります。通常の医療費控除との選択制であることを理解し、レシートや健康診断などの記録を保管したうえで、最新の対象品目を確認しましょう。薬を選ぶ際は税制上の対象かどうかだけでなく、安全性や症状に合っているかを専門家に相談することも重要です。

参考:厚生労働省「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について」
参考:国税庁「特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき」