手足口病が全国で流行東京は2年ぶり警報レベルに

主に乳幼児がかかる夏の感染症「手足口病」が、2026年の夏、例年より早いペースで各地に広がっています。東京都では6月下旬に定点医療機関あたりの患者報告数が警報の基準を超え、およそ2年ぶりに警報レベルに達しました。口の中や手足に水疱ができるのが特徴で、多くは数日から1週間ほどで自然によくなっていきますが、まれに重い症状につながることもあります。夏本番を迎えるいま、家庭でできる予防のポイントを整理します。

東京都で約2年ぶりの警報レベル、報告数が前週から大きく増加

東京都のまとめによると、2026年第26週(6月22日〜28日)の手足口病の患者報告数は、定点医療機関あたりおよそ6.3人となり、前の週のおよそ3.6人から約75%増えました。都が警報の目安としている「1医療機関あたり5人」を超えたのは約2年ぶりで、都内の保健所単位でみると、31地域のうち16地域が警報レベルに達しています。地域によって流行の程度には差があり、報告数が特に多い地域も出ています。全国的にも、例年より早い時期から患者が増える傾向がみられます。

手足口病とは:口・手・足に水疱ができる夏の感染症

手足口病は、コクサッキーウイルスA群やエンテロウイルスなど、複数のウイルスが原因となって起こる感染症です。原因となるウイルスが一つではないため、一度かかっても、別のウイルスによってくり返しかかることがあります。潜伏期間は3〜5日程度が目安とされます。はじめは口の中に痛みや違和感が現れ、その1〜2日ほど後に、手のひらや足の裏、ときにひじやひざなどへ発疹や水疱が広がっていく、という順序をたどるのが典型的です。

  • 口の中の痛み・水疱

    初期には口の中に痛みや小さな水疱ができ、飲食がしづらくなることがあります。乳幼児では機嫌が悪くなったり、食欲が落ちたりする様子で気づくこともあります。

  • 手のひら・足の裏の発疹

    口の症状から少し遅れて、手のひらや足の裏、ひじやひざ、おしりなどに発疹や水疱が現れることがあります。かゆみや痛みを伴う場合もあります。

  • 発熱は比較的軽いことが多い

    発熱があっても比較的軽度で済むことが多いとされますが、症状の程度には個人差があります。高い熱が続く場合などは注意が必要です。

経過と、注意したい合併症

手足口病は、多くの場合、発症からおおむね1週間前後で軽快していくとされています。一方で、まれに髄膜炎や脳炎などの重い合併症を伴うことがあり、高い熱が続く、ぐったりしている、頭を痛がる、嘔吐をくり返すといった様子がみられる場合は、早めに医療機関を受診する目安になります。また、発症から数週間ほどたってから、一時的に手足の爪がはがれることが報告されていますが、多くは自然にもとに戻るとされています。口の痛みで水分が取りづらくなり、脱水になることもあるため、こまめな水分補給が大切です。

大人も感染し、家庭内でうつることも

手足口病は子どもに多い感染症ですが、大人が感染することもあります。子どもは比較的軽く済むことが多い一方、大人がかかると症状が強く出やすい傾向があるとされています。家庭内では、看病を通じて保護者や周囲の大人にうつることもあるため、子どもの世話をする際は、後述する手洗いなどの基本的な対策を心がけると安心です。

予防のポイント:手洗いと咳エチケット

手足口病には、現時点で予防のためのワクチンはありません。日常生活のなかでできる基本的な感染対策を続けることが、流行期を乗り切るうえで重要になります。特に、症状のある人と接した後や、排泄物にふれる機会のあるおむつ替えの後などは、丁寧な手洗いを心がけましょう。

  • 石けんと流水でこまめに手を洗う

    トイレやおむつ替えの後、食事の前などに、石けんと流水で丁寧に手を洗うことが基本です。保育の現場や家庭での基本的な対策として推奨されています。

  • 咳エチケットを心がける

    くしゃみや咳が出るときは口もとを覆い、飛沫を周囲に広げない配慮を心がけましょう。マスクの着用も一つの方法です。

  • タオルや食器の共用を避ける

    家庭内では、タオルや食器の使い回しを避けることが、感染を広げないための一つの目安になります。回復後もしばらくは便からウイルスが出ることがあるとされ、排泄物の処理には注意が必要です。

まとめ:過度に恐れず、基本の予防と早めの受診を

手足口病には特効薬がなく、治療は症状をやわらげる対症療法が中心となります。多くは自然に回復するため過度に恐れる必要はありませんが、水分補給と休養を意識し、口の痛みが強い場合は食べやすいものを選ぶなどの工夫が役立ちます。高い熱が続く、水分が取れない、ぐったりしているといった場合は、早めに医療機関に相談してください。流行の程度や対応は地域や医療機関によっても異なるため、気になる症状があるときは、かかりつけ医などに確認することをおすすめします。こまめな手洗いという基本の対策を続けながら、夏の感染症シーズンを健やかに過ごしましょう。