iPS細胞を活用した目の治療で改善例 患者が体験を語る
iPS細胞を用いた新しい目の治療に関する臨床研究で、実際に移植を受けた患者が初めて取材に応じ、見え方が改善した実感を伝えました。
神戸市の「神戸アイセンター病院」などの研究グループは、重度の眼疾患である「網膜色素上皮不全症」の患者3人に対し、iPS細胞から作製した網膜細胞をひも状に加工して移植する臨床試験を実施。そのうちの1人で、明るさを感じ取る検査結果などに改善が見られたことを報告しています。
改善が確認されたのは、兵庫県在住の佐伯恵さん(62)。8年前から視野の欠損や視力の低下が進み、日常生活での読み書きや料理に困難を感じていたことから研究に参加しました。
移植から約3年が経過した現在、佐伯さんは「夜空の星が再び見えるようになり感動した。床の小さなゴミにも気づけるようになり、生活の中で自分でできることが増えた。今後はより多くの患者が治療を受けられるようになってほしい」と語っています。
この研究グループは、2014年に世界で初めてiPS細胞を医療に応用する臨床試験を行って以来、今回を含め10人の患者に移植を実施してきました。しかし、患者が公に体験を語ったのは今回が初めてです。
なお、この治療法は「先進医療」として保険適用を申請しましたが、8月に計画の不備を理由に認められず、今後は再申請を目指すとしています。