道玄坂 加藤眼科 加藤 卓次院長 (渋谷) インタビュー

「国内外で活躍する眼科のスペシャリスト。最新治療にかける想いと可能性」道玄坂 加藤眼科 加藤 卓次院長

渋谷駅のスクランブル交差点から目と鼻の先にある加藤眼科。広々とした待合室には清潔感が漂い、スタッフの対応も非常にていねいな医院だ。院長の加藤先生は国内外で活躍する眼科医で、最新治療も積極的に取り入れているという。その中でも近視矯正の「オルソケラトロジー治療」は近年注目を集めている。

「患者さんがハッピーになることだけを考えている」という言葉からは、患者さんを最優先に考える姿勢が伺える。なぜ眼科医の道に進んだのか。その経緯から最新治療の可能性まで、たくさんのお話を伺った。

加藤 卓次院長インタビュー加藤 卓次院長眼科医になったキッカケを教えてください
私の家は親が医者ではなかったため「医院を継ぐために〇〇科でなければだめだ」ということはなく、何科でも選べました。進路を決める頃「この分野では絶対の自信がある"スペシャリスト"になろう」と思い始めました。

たとえば整形外科。手の専門家や足の専門家、脊椎専門、スポーツ整形など専門分野がいろいろあります。それに対して眼科のようなマイナーな科は、領域は狭いけれど眼のことに関して一人ですべてを診られるスペシャリストになれるのではないかと思ったんです。実際、眼科の道に進んでみたら、角膜の専門家などたくさんの専門分野があって、自分の考えが浅かったなと感じました(笑)。

「眼だけの専門の診療科」というのには少し抵抗がありました本心としては、医学部で6年間全身の勉強をしてきたのに「眼だけの専門の診療科」というのには少し抵抗がありました。今までに学んだ「全身に関する知識を活かしたい」という気持ちがあったのです。

今後、高齢化が進む中で年配の患者さんが増えてきます。生死とは別ですが、生活の質を上げるため、眼や耳など感覚器の治療需要は絶対に増えていくはずだ、という考えもありました。そういったさまざまなことを考え、最終的には眼科をライフワークにしようと思ってこの道に進みました。

先生は最先端の治療を積極的に導入されていますが、その1つであるオルソケラトロジーとはどのような治療法なのでしょうか?
オルソケラトロジーとはどのような治療法なのでしょうか?夜寝るときにハードのコンタクトレンズ(オルソケーレンズ)を入れて角膜の形を矯正(平らに)し、朝起きて外すと矯正された角膜の形が維持されている間は視力が回復するという治療法です。

近視というのは、屈折する力が強すぎて網膜より手前で像を結んでしまう症状ですので、角膜を平らにすると治ります。

基本的にはレーシックも同じで、角膜を、レーザーで削って平らにするかコンタクトレンズで平らにするかの差です。オルソケーレンズは毎日装着する必要があり、止めればもとの近視に戻ってしまいます。そのため人によっては「昼間つけるコンタクトと変わらない」「毎日の手入れが面倒」とおっしゃる方もいます。日中裸眼で過ごせる、夜は寝ている間につけられるという点をメリットに感じ、必要とする人が確実に存在する、ややニッチな治療法なのです。

まだ一般的に認知されていない治療法のオルソケラトロジーは、今後普及していくのでしょうか。先生の考える可能性も含めて教えてください。
先生の考える可能性も含めて教えてくださいアイディア自体は1960年代からありました。ここ10年くらいで改良が進み、第三世代のオルソケーレンズのデザインを改良するなど段々とよくなり、今では少しずつですが普及しています。また、子どもの近視の進行をやや遅くさせるということが、かなり確実な医学的データとして最近出てきました。米国や日本国内での臨床試験も終了し、厚生労働省も治療の有効性を承認しています。

日本では20歳以上で臨床試験を行ったため、ガイドラインではオルソケラトロジーの治療対象は20歳以上となっています。しかし当院では、患者さんに「外国では20未満の方にも使用しています」と伝え「20歳まで待つより、小学校高学年か中学校以上の近視が進行する時期にオルソケラトロジーを使うことにメリットがあります」という話はしています。まだまだ知名度は低いのですが、近視抑制のデータがもっと確実になってくれば、今より普及していく可能性があります。また、レーシック手術を受けるとなると一大決心が必要ですが、ちょっと特殊なコンタクトレンズで、しかも1週間ほとんど無料でトライアルできるとすれば、敷居が低いのではないかと思っています。

オルソケラトロジーには大きな可能性を感じますが、すべての症例で適応できるのでしょうか?
すべての症例で適応できるのでしょうか?中等度の近視までは治せますが、強度の近視は治せません。機器を用いて涙の量などを計測し、適応可能かどうかを検査します。

近視の進行を遅らせることは、実はオルソケラトロジー以外ではできないんです。医療の現場では「この薬が効く」という臨床治験を厳密にコントロールして行います。

たとえば新薬の効果を判定する臨床試験では、実薬を投与する200人のグループと、成分が入っていない薬を投与する200人のグループを用意します。処方しているドクターもどちらが実薬か知らないという状況で、その2つのグループのデータを第三者が解析します。その結果、1つのグループだけが統計的に優位かどうかを見て判断していきます。このように、絶対に不正が行われないようなシステムで比較しますので、きちんと保険で認可されている薬には信頼にたる医学的根拠が存在します。

ところがサプリメントは医薬品とは異なり健康食品に分類され、商業目的で過剰な評価が宣伝や広告で見受けられます。代表例として、ブルーベリーが視力回復に効くという間違った情報や医学的根拠のないコラーゲンの美肌効果などをあげることができます。現代のような恵まれた食生活をしている中で、特定の成分が健康によいということはほぼ無いと考えても間違いないでしょう。それならば、野菜を多く摂り、カラフルなものをたくさん食べ、新鮮な旬のものおいしくいただくなど、バランスのよい食事をしたほうがよほど良いと思います。

このクリニックを開業された理由と渋谷を選んだ理由を聞かせてください
開業する前は大学病院に勤めていました。大きな病院でしか味わえない仕事の充実がある一方で、大きな組織ならではの仕事上の制約もあり、また組織運営上のおびただしい雑用などに時間をとられていました。たとえば椅子1つ購入するにも申請しなければならないし、中間管理職的な立場だったので出席しなければいけない会議なども多く、診療だけに集中できなかったんです。そういう組織の中での煩わしさもあり、自分の裁量で機器を揃えて診療だけに集中したいと思い、開業を決めました。

この場所は、以前勤めていた日赤医療センターにも近く、いくつかの大学病院とも病診連携がしやすいこと、当時診ていた患者さんがこの近辺に多かった、ということも理由の1つです。私自身、郊外よりも都心がよかったっていうのもありますけど(笑)。

ドクターになってよかったと思うことはありますか?
ドクターになってよかったと思うことはありますか?基本的に私は、自分の目の前に現れた人がハッピーになることだけを考えていれば良いと思っています。そのために自分の経験・能力・知識を総動員し、目の前の人がどうすれば悩ましい症状から解放されるかを考え、行動します。数ある職種の中でも「これだけを考えていればよい」というのは、ものすごく恵まれていると思います。

たとえば、社会の中で自社の利益だけを追い求める会社は必ず淘汰されます。反対に、利用者の利益を追求する会社は、儲からないかもしれませんが長く続くものです。そういったバランスの中で商売をするのは、非常に難しいでしょう。その点、我々ドクターは、患者さんを治療して幸せにすることだけを考えればよいのです。治療をして患者さんを幸せにすることは、ドクターだからこそ得られる喜びだと思います。

読者にメッセージをお願いします
読者にメッセージをお願いします今やネットの時代となり、医学の情報が歪んだままあふれているため、正しい情報が伝わっていないような気がします。だからこそ、健康に関する情報や医学的な情報は、信頼できる専門家に相談することが大事です。サプリメントにしても「友達がこれを飲んだら、眼がスッキリして調子がよいみたいなの~」と、友達の情報で動いてしまっている人がとても多いです。

それを私が「違いますよ」と言っても「お友達が2人も3人も言っているのよ」とお友達の情報を優先してしまう方すらいます。ほかにもネットで情報を調べ、頭でっかちになって「大変な病気だ...」と思い込んでいる方がいます。間違った自己診断で取り越し苦労をしてしまう方が少なくありません。中には、こちらが、びっくりするぐらい正確な自己診断をされてくる方もいらっしゃいますが、例外的です。多くの方がネットの情報に振り回され、来院する前に間違った情報をインプットされてしまっているような印象を受けます。

こういう時代ですから、間違った情報はたくさんあり、ネット上に出ている情報は情けないレベルで間違っていることも多いため、そこは信頼できる専門家に相談することが大切です。

院長プロフィール<経歴>
加藤 卓次院長1991年 順天堂大学医学部卒業
1993年 日本赤十字社医療センター眼科
1995年 東京大学大学院研究員
1999年 米国ハーバード大学眼科 角膜・屈折矯正手術部門フェロー
2001年 順天堂大学医学部 眼科学講座 医局長・講師
2004年 道玄坂 加藤眼科開院

<資格>
医学博士
日本眼科学会認定眼科専門医

<受賞>
マサチューセッツ眼科耳鼻科病院 ボシュロムリサーチフェロー賞
上原財団リサーチフェローシップ賞
米国眼科学会 最優秀ビデオ賞

道玄坂 加藤眼科 基本情報

住所 東京都渋谷区道玄坂2-3-2 大外ビル5F
電話番号 03-6415-3190
診療科目 眼科
診療時間 10:30~12:30/14:00~19:00(日曜は18時受付終了)
休診日 年末年始・ビル休館日(年4回)
アクセス 渋谷駅 5-1番出口目の前

患者さんの声(口コミ・評判)評価:★★★★★(5段階中5)/60代/男性
緑内障治療で定期通院していましたが、緑内障治療だけでなく白内障治療も併せて治療することになり、紹介状を書いていただきました。しかし、紹介をいただいた病院が多忙のため年内での治療が困難なことが分かりました。急遽休日にも関わらず先生から連絡をいただき、別の病院の紹介をしていただき、手術を無事受けることができました。このことはだけではありませんが、患者に寄り添った診療をしていただける医院だと思います。今後とも宜しくお願い致します。