山田光胤記念漢方内科 渋谷診療所 山田 博一所長 (渋谷 道玄坂) インタビュー

「日本でも数少ない漢方専門医。漢方治療にかける想い」山田光胤記念漢方内科 渋谷診療所 山田 博一所長

渋谷の道玄坂に医院を構える漢方専門医の山田博一先生。医院は、日本で最初の「保険適用の漢方専門診療所」として30年以上もの歴史があり、今ではここを巣立って行った門下生が全国で活躍している。幼い頃から漢方の話を聞きながら育ったという山田先生は、自然と漢方の道に進み、今ではドクター歴35年以上のキャリアを持つ。

一口に漢方と言っても「患者さんそれぞれに合わせた配合と処方が大事」と語る山田先生。そんな長年のキャリアを持つ山田先生に、漢方治療についてお話を伺った。

山田 博一所長インタビュードクターになるまで、そして漢方を扱うに至った経緯「漢方」を専門に扱うドクターは少ないと思うのですが、先生がドクターになるまで、そして漢方を扱うに至った経緯をお教えください
もともとは、父の後を継ぐために医師になりました。父は幼少期の頃に大病をして命を落としかけたとき、母方の祖父で昭和漢方の祖といわれる「大塚敬節」に命を救われたそうです。大学の医学部を卒業し、祖父に師事して漢方を学びました。

漢方医学の原本となるものは、今から約2000年前に記されたものです。2000年前と聞くと、情報が古いというイメージがあるかもしれません。しかしそんなことはありません。先人たちの知恵が集約されており「どの薬をどうやって使うのか」「間違って処方した場合はどうなるのか」など、ありとあらゆることが記されています。

『患者さんを治療できる医療』をしたくて漢方の道に進みました私が物心ついた頃から、祖父と父はずっと漢方の話をしていたのを覚えています。大学の医学部に入り、たくさんの講義を受講しましたが「大変難しい病気の診断方法は教えてくれるけれど、治療の方法は教えてくれない」と感じました。

たとえば風邪に対する治療は、咳止めや解熱剤など症状を緩和する治療薬のみで、風邪自体を治す「風邪薬」はないのが現状です。私が子どもの頃から聞いていた、父と祖父の漢方の話は、診断ではなく「患者さん」を、そして「病気」を治す話でした。そこで『患者さんを治療できる医療』をしたくて漢方の道に進みました。もともと漢方をやろうと思っていたのですが、薬理学、内科学など、近代医学の基礎を学んだ上で、漢方の診療を始めました。

見学に来る先生方もいらっしゃるとの記事を拝見しましたが、漢方の勉強方法はどういったものなのでしょうか?
漢方の勉強方法漢方を本格的に勉強しようとすると、師匠の元について学ぶのが近道です。もちろん漢方は学問ですが「術」が重要な部分を占めます。その術を身につけるためには、師匠に師事して実地で学ばなければなかなか難しいのです。また、漢方には多くの書物があり、その「幹と枝葉」を見分ける必要があります。

私が父に師事し始めた頃、父は患者さんのお腹に手を当てて、少しさすっただけで「胃がここまで下がっている(胃下垂)」とか「心臓が大きい(心肥大、手を当てれば心臓の大きさがわかる)」などと言うわけです。私も同じように行ってみましたが、最初はさっぱりわかりませんでした(笑)。でも、経験を積むうちに段々とわかるようになるんです。本を読むだけではわからないこともたくさんありますから、そういったことを現場で師匠について勉強することが大切です。

お父様の時代からですと、現在で開業何年目になるのでしょうか?
父が自宅で開業したのが昭和30年。この渋谷診療所は、漢方医を育てるためと、当時保険適用となった漢方エキス製剤が実際に有効なのかを確認するため、昭和56年に開設しました。

長年通われている患者さんも多いと思いますが、近隣の方なのでしょうか?
遠方からいらっしゃる方が多いですどちらかと言えば、遠方からいらっしゃる方が多いです。そのためか「風邪を引いちゃって、家で寝ていました」なんて患者さんもいらっしゃいます。本当はそのときにこそ来てほしいんですけどね(笑)。

青ヶ島から来ている患者さんもいましたが「今度は八丈島に引っ越して便利になりました!」なんておっしゃっていたことがありました。

まだまだ漢方について誤った知識を持っている患者さんも多いのではないでしょうか?
そうですね。我々漢方専門医はたくさんの漢方を扱いますが、一般に知られている疾患名とは別の治療目的で漢方を処方することがあります。というのも、近代病名だけに基づいて漢方治療を行うことが困難だからです。

インターネット等で疾患名と漢方処方を調べて来院され、いろいろと処方を提示される患者さんがいらっしゃいますが、ネットの知識だけで漢方医学的診断に基づく適応処方は選択できません。たとえば、耳鳴りや、気分を爽快にさせる薬の保険適応病名は「感冒」だけです。下痢に効く漢方なのに、保険病名には下痢が入っていない処方もあります。そのようなときは、薬の説明書きとは異なった目的で使っていることを患者さんに説明する必要があります。

待合室外観

漢方と西洋医学ではどういった違いがあるのでしょうか?
基本的に西洋医学は「この病気にはこの薬」というものが決まっています。一方漢方は、1つの症状に対して幅広い対処法があり、患者さんの体質や症状によって処方する漢方も異なります。弱い体質の患者さんに強い漢方を処方すれば、体調をさらに悪化させることもあるため、しっかりと見極める必要があります。

漢方と西洋医学ではどういった違いがあるのでしょうかたとえば、本人は困っているけれど病気ではない症状。病院でさまざまな検査をしても何も異常がない。検査で異常がなければ近代医学では対処のしようがなく「あなたは病気ではない」となります。しかし本人には症状があるのです。

漢方は、その症状に適応した処方を選択でき、また漢方医学的に症状の原因を考えて治療をすることができます。病院で「病気ではないから大丈夫」と言われても、患者さんは実際に困っている。そのようなときに対処できるのが漢方の特徴です。

風邪にも種類があるとのことですが
風邪の場合、風邪を引いてからの時期(病期)、患者さんの抵抗力の強さ、病気との闘病反応の強さを判断します。また風邪には、一般的に知られている葛根湯が効くようなタイプの風邪(陽証)と、熱があっても寒くて仕方なく熱感(熱っぽい感じ)がないタイプの風邪(陰証)があります。このタイプの判断を誤ると、薬はまったく効きません。最近では教科書どおりの典型的な病型の風邪が少なく、処方を決定するのが難しい症例も多くあります。ただの風邪、と思うかもしれませんが、実は"「陰」と「陽」を見極め、風邪をしっかり治療できるようになれば名医"と言われるほど難しく、重要なのです。

印象深い患者さんとのエピソードはありますか?
漢印象深い患者さんとのエピソード以前「体調が悪くてテレビを見るものつらい」というご高齢の女性を診察したことがありました。漢方を処方するとすぐに元気になり、自分で歩き回れるほど体調が回復しました。「元気になってよかったねぇ」と言うと「山から二里歩いて病院まで来たの。元気になって畑仕事を頑張りすぎたから、今度は腰が痛い」と。それを聞いて、うれしい半面、ちょっと心配になりましたね(笑)。

ほかにも、学校に行くのがストレスで、学校に行こうとすると体が緊張してしまって通学できないという高校生の女子がいました。心療内科と漢方の両方をやられている先生を紹介しようかと思ったのですが、まず漢方を処方したところ、すぐに回復して元気に通えるようになりました。漢方は精神的なものには向かない、というイメージをお持ちの方もいるかと思いますが、実は気分を落ち着かせる漢方もあります。最近は精神神経科系の患者さんが多くなり、かなり効果を上げています。

所長プロフィール山田 博一所長<経歴>
1978年 東京医科大学卒業

<資格等>
山田光胤記念漢方内科渋谷診療所所長
皇風会山田医院副院長
日本東洋医学会認定 漢方専門医、指導医

山田光胤記念漢方内科 渋谷診療所 基本情報

住所 東京都渋谷区道玄坂2-10-7 新大宗ビル5号館 3階
電話番号 03-3464-6431
診療科目 漢方内科・内科・皮膚科・婦人科・小児科・消化器内科・呼吸器内科・循環器内科
診療時間 9:00~11:30/13:30~16:00(土曜は15:30まで)
休診日 日曜、祝祭日 ※初診は要予約
アクセス JR渋谷駅 2番出口より徒歩3分 / JR渋谷駅 ハチ公前改札より徒歩6分

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